厚生労働省の調べによれば、2040年度の65歳以上の高齢者人口が3900万人を超え、その時の介護職員の不足人数が約69万人になると推計しています。人口の3分の1以上が高齢者になるのに伴い、約280万人の介護職員が必要と言われていますが、2019年度において、その数は約211万人にとどまっています。介護職は、勤務時間が不規則で、しかも力仕事が多く、高齢者の心と体の状態に日々向き合うことから精神的な負担が重いと言えるでしょう。
介護の現場では、人材不足や業務量の多さ、利用者によっては暴言や暴力をふるうなどの行為もあり、介護職員は日々多くのストレスを抱えています。利用者と向き合うことが面倒になって手を抜いてしまったこともあるでしょうし、時間に追われるあまり利用者に意思確認をせず強引にケアをしてしまったこともあるでしょう。こうした不適切なケアについて、排泄介助の事例を挙げると「尿が出たと訴えられても紙おむつを交換しない」「サイズ違いのおむつを使用する」「尿意を訴えているのに後回しにする」「トイレの介助時にドアを開けたまま放置する」などが挙げられます。
このような事例は、無意識に悪気なく行ってしまったものですが、そのことで利用者の心や体を傷つけてしまうケースもあるでしょう。不適切なケアの背後には、介護職員のストレスや、自分のケアに対する不安などが挙げられます。その解決策は、介護スキルを高め、信頼関係を構築することなどにありますが、まずは、問題を一人で抱え込まず、職場の上司や同僚、先輩などに相談すると良いでしょう。